商人(しょうにん)と蜂(はち)
都(みやこ)の商人(しょうにん)が伊勢(いせ)の国(くに)から荷物(にもつ)をいっぱい運(はこ)んで鈴鹿山(すずかやま)を越(こ)えていると、山賊(さんぞく)があらわれて商人(しょうにん)から荷物(にもつ)をうばいとりました。商人(しょうにん)はあわてるようすもなく、山(やま)の向(む)こうをながめていましたが、しばらくすると大(おお)きな蜂(はち)の大群(たいぐん)が飛(と)んできてまたたくまに山賊(さんぞく)に襲(おそ)いかかりました。この蜂(はち)は商人(しょうにん)がふだんから大切(たいせつ)に育(そだ)てている蜂(はち)で、商人(しょうにん)は山賊(さんぞく)に奪(うば)われた荷物(にもつ)を取(と)り戻(もど)したばかりか、これまで山賊(さんぞく)が奪(うば)ってきた宝物(たからもの)まで手(て)に入(い)れました。『今昔物語(こんじゃくものがたり)』に載(の)せられている鈴鹿山(すずかやま)の話(はなし)です。