鈴鹿山(すずかやま)の鬼丸(おにまる)
鈴鹿峠(すずかとうげ)に鬼丸(おにまる)という山賊(さんぞく)がでて多(おお)くの旅人(たびびと)をおそっていました。ある日(ひ)、鬼丸(おにまる)の正体(しょうたい)を知(し)った僧(そう)が、鬼丸(おにまる)に殺(ころ)される前(まえ)に、「れいろくさんのきがんはちょうやでんのそんりく、と大声(おおごえ)でじゅもんをとなえて山(やま)に入(はい)れ」と教(おし)えました。それから鬼丸(おにまる)は、大声(おおごえ)でじゅもんをとなえて悪事(あくじ)を重(かさ)ねていました。ある人(ひと)がこのじゅもんを漢字(かんじ)におきかえて書(か)き写(うつ)したところ、「鈴鹿山(すずかやま)の鬼丸(おにまる)は長野殿(ながのどの)の孫六(まごろく)」となったため、鬼丸(おにまる)がかつて長野氏(ながのし)につかえていた孫六(まごろく)であることがばれました。長野(ながの)の殿(との)さまはたいへんおこって孫六(まごろく)を捕(とら)え、きびしく罰(ばっ)しました。この話(はなし)は「勢陽雑記(せいようざっき)」という本(ほん)にのせられています。