館蔵資料提供による授業支援


「新しい学問と化政文化」 〜亀山市立亀山中学校2年生社会科〜

 平成26年3月14日(金)と19日(水)、亀山市立亀山中学校で行われた2年生の社会科授業「新しい学問と化政文化」に歴史博物館から資料を提供しました。14日に4クラス、19日に2クラス、計6クラスそれぞれの授業に支援をしました。授業は会議室で行われました。先月に引き続き2度目ということで、生徒さんたちは授業を楽しみにしてくれていました。貴重な資料でしたので今回は触ってもらえませんでしたが、間近で本物を見る良い機会になったことと思います。

画像を見ています  亀山藩沓掛村の大萱市治郎さんが使っていた寺子屋の手本です。

 現在、亀山市歴史博物館で実物を展示しているため、データを先生にお貸ししました。
 それを、生徒たちに見せながら授業をしてみえる場面です。
 落書きのあることを知り、「自分たちと同じだ」とつぶやいている生徒もいました。
 これは、文化元年に葛飾北斎が東海道を描いてから30年後、歌川広重が描いた東海道五十三次「雪晴」という浮世絵です。
 「当時、浮世絵は何が買えるぐらいの値段だったと思いますか?」と問いかけると、「車が買えるぐらい」「家を建てるぐらい」と生徒たちは答えました。浮世絵は庶民が庶民のために描いたものです。今でこそ高価なものですが、当時はおそば1杯(16文)の値段で買えたと聞き、生徒たちはとても驚いていました。
浮世絵を説明しています
浮世絵を見ています
 これは"役者絵"と言います。歌舞伎役者の坂東彦三郎さんの絵です。今で言う芸能人の写真のようなものでした。

 他に、美人画も見てもらいました。
 髪の毛1本1本生え際までていねいに描かれていることに気づく生徒がいました。また、半襟がただの白ではなく、細かい模様の入っていることを聞くと、じっと眺め「本当だ」と驚いていました。
 3つの資料がおいてあります。

 石川家の家臣が書いた日記です。大塩平八郎の手配書のことが記されています。

 南総里見八犬伝の類似本「犬之草紙」です。中心にイラスト、まわりに文章が書かれています。

 藩校である明倫舎の書物「和蘭文典」です。オランダ語の文法書を日本で再出版したもので、表紙に亀山洋学所蔵書と書いてあります。
書物を説明しています
地図を見ています  伊能忠敬が地図を作る40年ぐらい前に、水戸藩の長久保玄珠が作った日本地図です。北極星を見てその角度で場所を決めたり、いろいろ調べたり20年ぐらい研究して作られたものです。
 伊能忠敬の地図は幕府のものだったので、印刷物として出ていたこの地図が日本地図として明治時代まで使われていました。「北海道がない。」と気づく生徒がいたので、「江戸時代の北海道は、幕府から見ると松前藩だけ描かれています。」と答えました。
浮世絵を見ています 熱心に説明を聞いています
<狂歌入り東海道、県内の他の
宿場も見てみましょう>
<熱心に説明を聞く生徒たち>
熱心に浮世絵を見ています 熱心に浮世絵を見ています
<初代広重の表現はおもしろい所
があるね>
<亀山、関、坂の下と書いてあるね>
地図を見ています 先生方が浮世絵を見ています
<細かいところまでかいてあるね> <先生方も、興味深く見て
いただきました>
 生徒たちの感想
  • 歴史博物館にある浮世絵を持ってきてもらい、とても詳しい説明をしてもらってよく分かりました。
  • 教科書より、ひとつひとつがかなりリアルですばらしい。
  • 版画がすごく細かくてすごいな。色の種類も多くてびっくりしました。
  • 絵もすごいけど、版画を彫るのもすごい。技術が必要なのだということを知りました。
  • 昔にも漫画があることにとてもびっくりしました。浮世絵の本物を見るのは初めてで、ほんとにすごいと思いました。
  • 日本地図はすごく大きく、色も使われていてすごかったです。昔の文字は読みにくかったです。
  • 実物の資料を見ることができて参考になりました。蘭学の書物を集めて、しっかり文化として取り入れていました。冊子も普通の書物と綴じ方が反対でした。
  • 実物を見ることで理解しやすかったです。こういう授業があると分かりやすいので、これからもしてほしいです。

提供資料
(映像資料)
 御手本(亀山市歴史博物館所蔵)

(実物資料)
 ①大塩平八郎の乱の手配書きが記録された天保八年の日記
   (館蔵加藤秀繁日記)
 ②大塩平八郎の乱の手配書きが記録された天保八年の日記
   (館蔵天野家日記)
 ③南総里見八犬伝の類似本「犬之草紙」(館蔵加藤家文書)
 ④亀山藩の藩校明倫舎の「亀山洋学所」で蔵書されたオランダ語の文法書を
   復刻した「和蘭文典」前後編(館蔵明倫館文庫)
 ⑤安政四年に水戸の地理学者長久保玄珠(赤水)が作り、明治まで
   広く利用された「新刻日本輿地路程全図」(館蔵加藤家文書)
 ⑥東海道五拾三次之内亀山 雪晴(保永堂版東海道)
 ⑦東海道五拾三次之内関 本陣早立(保永堂版東海道)
 ⑧東海道五拾三次(狂歌入東海道)
 ⑨五十三次名所図絵 四十七 亀山風雨雷鳴(竪絵東海道)
 ⑩亀山 関へ一里半(春興五十三駄之内)
 ⑪東海道中栗毛弥次馬(亀山・関)
 ⑫弥酔佐久羅
 ⑬十郎祐成(坂東彦三郎)


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