名刀抜丸(めいとうぬきまる)
むかし鈴鹿山(すずかやま)のふもとに貧(まず)しい男(おとこ)が住(す)んでいました。ある日(ひ)、伊勢神宮(いせじんぐう)の神(かみ)から「山(やま)で猟師(りょうし)をしなさい」とのお告(つ)げがありました。猟師(りょうし)となった男(おとこ)は、「三子山(みつごやま)で、木(き)を枯(か)らしてしまうふしぎな刀(かたな)をひろいます。この話(はなし)を聞(き)いた平忠盛(たいらのただもり)は、たくさんのほうびとひきかえにこの刀(かたな)を手(て)に入(い)れました。ある日(ひ)、忠盛(ただもり)が刀(かたな)を近(ちか)くにおいて昼寝(ひるね)をしていると庭(にわ)の池(いけ)から大蛇(だいじゃ)がでてきて、忠盛(ただもり)におそいかかろうとしました。忠盛(ただもり)が気(き)がついて目(め)を覚(さ)ますと、刀(かたな)が勝手(かって)にさやからぬけて大蛇(だいじゃ)に刃(は)を向(む)けていました。忠盛(ただもり)はこの刀(かたな)を「抜丸(ぬきまる)」と名付(なづ)けて、平氏(へいし)の宝(たから)として代々(だいだい)伝(つた)えました。