転(ころ)び石(いし)
ある日(ひ)のこと、東海道(とうかいどう)の西追分(にしのおいわけ)と市ノ瀬(いちのせ)の間(あいだ)に付近(ふきん)の山(やま)から大(おお)きな石(いし)が道(みち)の脇(わき)までころがりおちました。大(おお)きな石(いし)は山(やま)に戻(もど)りたがって毎晩(まいばん)のようになうなり声(こえ)を出(だ)して人々(ひとびと)をおそれさせました。ちょうど通(とお)りがかった弘法大師(こうぼうたいし)が大(おお)きな石(いし)を供養(くよう)したところ、それから石(いし)は静(しず)かになったと伝(つた)えられています。それからこの石(いし)のことを「転石(ころびいし)」とよばれるようになりました。江戸時代(えどじだい)の『東海道名所図会(とうかいどうめいしょずえ)』などにも「転石(ころびいし)」が描(えが)かれています。